・更新請求・更新拒絶
(更新請求に対する異議)の通知
(借地契約の場合)
※ポイント
(1)借地契約の存続期間
(2)特約の有無
(3)異議の正当事由 |
建物の所有を目的とする借地契約の法定存続期間は30年とされ、当事者
がこれより長期の期間を定めた場合はその期間によります。
(借地借家法・第3条)
これに反する特約で借地権者に不利なものは無効です。(同法第9条)
※民法の規定では、賃貸借契約は20年を越えることができず、これより
長期の定めをした場合は20年に縮減されます。更新が可能ですが、更新
の時からさらに20年間とされます。(民法・第604条)
また、地上権の設定による土地の利用の場合は、当事者の設定した期間
によるのが原則ですが、これを定めなかったときは裁判所が、20年〜50年
の間で存続期間を定めるものとされています。(民法・第268条)
借地借家法・第3条は、建物の所有を目的とする土地の賃貸借契約及び
地上権設定契約に関して、特例を定めていることになります。
借地契約の存続期間が満了する場合に当事者が合意で更新するときは、
借地契約後最初の更新の場合は20年間、2回目以降の更新なら10年間
存続することになります。(借地借家法・第4条)
合意がない場合でも、借地権者は一方的に更新の請求をすることができ、
借地上に建物がある場合に限り、従前の契約内容と同一の条件で契約
を更新したものとみなされます。(借地借家法・第5条第1項本文)
更新後の期間については第4条の規定によります。
借地権者の更新請求に対して、貸主(借地権設定者)は異議を述べること
ができます。
つまり、更新を拒絶できるわけですが、そのためには、更新請求があった
後「遅滞なく」異議を述べることを要し、さらに「正当の事由」があることを
必要とします。(同法第5条第1項但書、第6条)
借地権の存続期間が満了し、合意による更新も借地権者からの更新請求
も為されないまま、借地権者がなおその土地の利用を継続している場合に
は、建物があり、かつ借地権設定者が遅滞なく異議を述べなければ、従前
の契約と同一の条件で契約の更新がされたものとみなされます。
(借地借家法・第5条第2項) これを黙示の更新といいます。
借地権者からの更新の請求、あるいは貸主(借地権設定者)からの更新の
拒絶(異議)は、権利関係を明確にし証拠を確実に残すために、内容証明書
を利用するのが適当でしょう。
借地権はその存続期間が長期にわたり、期間が満了しても更新されるのが
ほとんど原則的になっていますので、その実体は限りなく所有権に近づいて
います。
そのために、遊休土地を借地契約に付することに消極的になる土地所有者
が増え、宅地の供給に支障が出るおそれがあります。
そこで借地借家法は、「定期借地権」という新しい制度を設けました。
定期借地権は、50年以上の存続期間を定めれば、契約の更新および建物
築造による期間の延長がなく、法第13条による買取請求も排除することが
できます。
定期借地権の設定契約は、公正証書によるなど必ず書面によってしなけれ
ばなりません。(借地借家法第22条)
|
・更新請求・更新拒絶
(更新請求に対する異議)の通知
(借家契約の場合)
※ポイント
(1)借家契約の存続期間の有無
(2)申し入れ期間の制限
(3)解約等の正当事由
|
借家契約すなわち建物の賃貸借契約の存続期間について、借地借家法
は規定をおいていません。(借地契約の法定存続期間は30年です)
民法第604条は賃貸借契約の存続期間を20年までとしていますが、
借地借家法・第29条第2項は、建物の賃貸借について604条の適用を
除外していますので、当事者が自由に契約の存続期間を定めることが
できます。
当事者の定めた存続期間が満了する場合、貸主は自ら使用する必要が
あるなどの「正当の事由」がなければ、更新の請求を拒絶することはでき
ません。(借地借家法・第28条)
また、この更新拒絶の通知は、期間満了の1年前から6ヶ月前までの間
にすることが必要です。(同法第26条)
借家契約の期間満了の1年前から6ヶ月前までの間に、更新拒絶の通知
をしなかった場合、あるいは、通知をしたが期間満了後も建物の使用を
継続する借家人に対して遅滞なく異議を述べなかった場合は、従前の
契約と同一の条件で借家契約を更新したものとみなされます。
(同法第26条)
借家契約において存続期間の定めを設けなかった場合には、契約の更新
ということは問題になりません。
この場合、民法上の賃貸借契約の原則では、貸主はいつでも解約の申し
入れをすることができ、申し入れの日から3箇月経過することによって、契
約は終了することになります。(民法・第617条第1項)
借地借家法は、この点に修正を加え、賃貸人からの解約申し入れに正当
の事由を必要とし、申し入れの期間を6ヶ月としています。(借地借家法・
第27条第1項、28条)
有効な解約申し入れによって賃貸借契約が終了した後であっても、賃借人
が建物の使用を継続し、賃貸人が遅滞なく異議を述べなかった場合には、
従前の契約と同一の条件で契約を更新したものとみなされます。(同法第
27条第2項)
なお、1年未満の存続期間の定めのある建物賃貸借契約は、期間の定め
のない契約とみなされます。(同法第29条第1項)
期間の定めがある建物賃貸借契約で、借主の側から更新を請求する場合、
貸主から更新を拒絶する場合、期間の定めがない契約で貸主の側から解約
の申し入れをする場合などには、内容証明書の利用が適当でしょう。
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・未払い地代・家賃の請求 |
民法第601条によると、「賃貸借は、当事者の一方がある物の使用及び収益を
相手方にさせることを約し、相手方がこれに対してその賃料を支払うことを約する
ことによって、その効力を生ずる。」とされます。
借地契約は建物の所有を目的とした土地の賃貸借契約であり、借家契約は
建物自体の賃貸借契約ですので、借主は土地又は建物の使用収益の対価
として、契約で定められた賃料の支払義務があります。
賃料の支払い方法については、契約で定められた方法によりますが、当月分
月末払いや、翌月分当月末払いなどが一般的です。地代の場合は1年分
まとめての支払いということもあります。
定めを設けなかった場合は、民法第614条により、当月分月末払いが原則と
なります。
支払場所について、契約に定めが設けられなかった場合は、民法第484条
により、「債権者の現在の住所」で支払うことになります。(持参債務といい
ます)
借主(借地権者、借家人)が、支払期限が到来したにもかかわらず、賃料の
支払義務を怠るときは、債務不履行となります。
貸主は、賃貸借契約に基づいて支払の請求をすることができます。
長期にわたって故意に支払いをしないというような場合は、裁判に訴えて請
求することもできますが(民法第414条)、その前段階として裁判外の請求
を内容証明書を用いて行なうとよいでしょう。
民法第541条によれば、貸主は相当の期間を定めて支払の催告を行ない、
この期間内に支払われなければ契約を解除することができます。
ここでいう支払の催告とは裁判外の請求のことですから、契約の解除まで
見越した上で、催告の事実を証明するためにも内容証明書の利用が有効と
なります。
「賃料不払いの場合には催告なしに契約を解除できる」旨の特約は原則と
して有効ですが、あまりに短い期間の賃料不払いを根拠に契約を解除する
ことは、信義則に反する行為として認められないことがあります。
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・貸主の修繕義務履行の請求 |
借地契約あるいは借家契約は、貸主が土地あるいは建物を借主に使用・収
益させ、借主がその対価を支払うことを約束する契約ですので、目的の土地
あるいは建物が使用・収益できない状態になった場合は、貸主の側にその
修繕義務が生じます。
借地借家法には貸主の修繕義務に関する規定はありませんが、民法上の
賃貸借契約に関する規定の適用があります。
民法第606条第1項によると、「賃貸人は、賃貸物の使用及び収益に必要
な修繕をする義務を負う」とされます。
賃貸物に修繕を必要とするに至った原因が、賃貸人の側にある場合および
不可抗力による場合については、問題なく賃貸人の修繕義務が発生します。
原因が賃借人の側にある場合については議論が分かれています。
修繕が必要となった場合には、賃借人はその旨を賃貸人に通知することが
必要です。これは同時に修繕の請求でもある場合が多いでしょう。
一般に、不動産の賃貸借契約は継続的契約関係といって、当事者間の信頼
関係に基づいた人的関係の濃厚な契約です。
したがって、目的の物件が修繕を要する状態になったからといって、これを
いきなり内容証明書で通知するのは控えるべきでしょう。
先ずは通常の手紙なり電話で、あるいは直接口頭で伝え、修繕して欲しい
旨の申し入れを行なって充分に話し合いをすべきです。
これらの常識の範囲内でのやり取りを経てもなお、賃貸人が修繕義務の
履行を怠るときは、将来の訴訟までも見越して証拠を残すという意味で、
内容証明書を利用すべきです。
賃借人は目的物を自ら修繕して、その費用を賃貸人に請求することもできま
す。
この場合は、その費用が「必要費」であるか、「有益費」であるかによって、
請求の仕方が異なってきます。
「必要費」というのは、目的物の現状維持あるいは保存のために要した費用
のことで、賃貸人に対して、その額を直ちに償還請求することができます。
(民法第608条第1項)
「有益費」というのは、目的物に改良を加えるなど、その価値の増加に要した
費用のことです。価値の増加が現存することが条件となりますが、賃貸人の
選択によって、支出した金額または増加した価額の返還を請求できます。
(民法第608条第2項、第196条)
必要費の償還請求は、契約存続中であっても費用の支出時にできますが、
有益費の償還請求は、契約終了のときにしかできません。
なお、借主の費用償還請求は、貸主が返還を受けた時から1年以内にしなけ
ればなりません。(民法第621条、第600条)
修繕の費用が、「必要費」であるか「有益費」であるかについて争いがあれば
最終的には裁判で決することになりますが、賃貸借契約による目的物の使用
ができないために、やむを得ず賃借人が修繕したというような場合は「必要
費」であることが多いでしょう。
賃借人からの費用の償還請求権が、賃借料の支払と同時履行の関係にある
かという問題については、議論が分かれています。
これを肯定するかどうかで、賃貸人からの相殺の主張が認められるかどうか
の結論も異なってきます。
賃借人の費用償還請求権と賃貸人の賃貸料請求権とが同時履行の関係に
あると考えると、賃貸料請求権を自働債権とし費用償還請求権を受働債権
とする相殺はできないことになります。(民法第505条第1項)
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・地代・家賃の増減請求 |
不動産の賃貸借契約の賃料(土地なら地代、建物なら家賃)は、当事者
同士の合意によって定まるのが原則ですが、一定の場合には、当事者の
一方からの請求によって増額又は減額の変更が認められます。
借地借家法・第11条第1項を引用します。
「地代又は土地の借賃(以下この条及び次条において「地代等」という。)が、土地
に対する租税その他の公課の増減により、土地の価格の上昇若しくは低下その他
の経済事情の変動により、又は近傍類似の土地の地代等に比較して不相当となっ
たときは、契約の条件にかかわらず、当事者は、将来に向かって地代等の額の増
減を請求することができる。ただし、一定の期間地代等を増額しない旨の特約があ
る場合には、その定めに従う。」
第11条は借地に関する規定ですが、第32条は借家について同様の規定を
しています。
賃料の増減請求権は、いわゆる形成権とされ、権利の行使によって法的効
果を生じます。その請求には、権利関係を明確にする意味で、内容証明書の
利用が適当でしょう。
第11条および第32条は強行法規ですので、これを排除する特約は無効と
なります。
問題となるのは、増減請求の額について当事者間で争いになった場合です。
(1)増額について争いがある場合
貸主からの賃料増額の請求に対して、借主がこれに応じない場合です。
増額分が客観的に相当な額である限り、貸主の増額請求によって法的に有
効になるわけですから、借主が従前どおりの額を支払い続けると、差額の部
分について借主は債務不履行ということになります。
貸主は差額部分について改めて催告したうえで、契約を解除することも可能
となるはずですが、借地借家法は「地代等の増額について当事者間に協議が
調わないときは、その請求を受けた者は、増額を正当とする裁判が確定するまで
は、相当と認める額の地代等を支払うことをもって足りる。ただし、その裁判が確定
した場合において、既に支払った額に不足があるときは、その不足額に年一割の
割合による支払期後の利息を付してこれを支払わなければならない」として問題の
解決を図りました。(借地につき第11条第2項、借家につき第32条第2項)
なお、借主が従前どおりの額あるいは借主が相当と考える額を支払おうとし
ても、「増額した額でなければだめです」といって、貸主がこれを受け取ること
を拒絶する場合、借主は法務局へ供託することによって債務不履行の責任を
回避することができます。
(2)減額について争いがある場合
借主からの減額請求に対して、貸主がこれに応じない場合です。
借地借家法は、「地代等の減額について当事者間に協議が調わないときは、その
請求を受けた者は、減額を正当とする裁判が確定するまでは、相当と認める額
の地代等の支払を請求することができる。ただし、その裁判が確定した場合におい
て、既に支払を受けた額が正当とされた地代等の額を超えるときは、その超過額
に年一割の割合による受領の時からの利息を付してこれを返還しなければならな
い」として、増額の場合と同様の規定を設けています。(借地に付き第11条
第3項、借家につき第2条第3項)
貸主が減額した賃料の受け取りを拒絶する場合には、借主は法務局に供託
することによって債務不履行の責任を回避できることができます。
地代・家賃の増減請求について紛争を生じた場合、訴訟の前段階として調停
に付することが定められています。
(調停前置主義といいます・民事調停法第24条の2、第24条の3)
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・敷金返還請求 |
敷金というのは、不動産賃貸借契約の締結に際して借主から貸主に交付さ
れる金銭であって、賃貸借契約終了後明け渡しまでの間に借主が負担する
賃料・損害金その他契約から生じる一切の債務を担保するものです。
法律上、敷金を設けるべき旨の規定はありません。当事者の合意・慣習など
に基づいて設定されます。
賃貸借契約継続中に借主の賃料不払いがあったとき、貸主は敷金から賃料
を控除することができます。これは義務ではなく、貸主は敷金から控除せず
に賃料の支払を求めることもできます。
また、借主は賃料不払いに際して、敷金からの控除を求めることはできませ
ん。
借主に目的不動産利用上の用法義務違反があれば、原状回復に必要な額
も控除されます。
原状回復の意味について、国土交通省・住宅局のガイドラインは、「賃借人
の居住、使用により発生した建物の価値の減少のうち、賃借人の故意・過
失、善管注意義務違反、その他通常の使用を超えるような使用による損耗
等を復旧すること」としています。
したがって、通常の使用に伴う目的物件の損耗や自然損耗などの修繕の
費用は、貸主が負担すべきものであって、敷金からの控除は認められません
敷金の返還と目的不動産の明渡しとが同時履行の関係にあるかどうかにつ
いて議論が分かれていますが、最高裁の判例は否定しています。
したがって、借主の明渡しに先履行義務があります。
明渡し終了後、借主の負担するべき賃料・損害金等を控除した残額を、貸主
は返還する義務を負います。
敷金返還について紛争を生じた場合には、調停の申立・支払督促手続・
小額訴訟等の前段階として、内容証明書による請求をするとよいでしょう。
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・建物買取請求 |
建物所有目的で土地の賃貸借契約が締結され、借地人がその土地の上に
建物を築造したとします。
借地権の存続期間が終了し契約の更新がない場合、借地人は土地を明渡
さなければなりませんが、建物を収去して更地を返還させるというのでは社
会経済的な損失が大きすぎます。
建物はそのまま残すとすると、借地人は建物に対する投下資本の回収を図
る必要があります。また、土地の貸主は、建物つきの土地の返還を受けた
のでは建物の価値を不当利得することになります。
両者の関係を調整するために、借地借家法・第13条第1項は「借地権の
存続期間が満了した場合において、契約の更新がないときは、借地権者は、
借地権設定者に対し、建物その他借地権者が権原により土地に附属させた物
を時価で買い取るべきことを請求することができる」としました。
これが借地人の建物買取請求権です。
契約関係が借地人の債務不履行などを理由に解除された場合には、買取
請求権は認められないというのが最高裁判例です。
したがって、地代の不払い・無断増改築・無断譲渡転貸などによる契約解除
の場合には買取請求はできません。
火災などによって建物自体が消失している場合も同様です。
建物買取請求権はいわゆる形成権です。借地人からの請求によって客観的
な時価による売買が成立することになりますので、土地の貸主はその代金を
支払う義務があります。
買取請求権を裁判外で行使する場合は、権利関係を明確にし証拠を確実に
残すためにも内容証明書を利用するべきでしょう
法第13条第1項は強行法規ですので、あらかじめ買い取り請求権を放棄
する等の借地権者に不利な特約は無効です。(借地借家法・第16条)
借地上の建物を借地人(建物所有者)から譲り受けた第三者は、土地につい
ては転借人ということになりますが、土地の貸主から承諾を得て転借してい
る場合は第13条第1項の適用があります。(借地借家法・第13条第3項)
つまり、借地権の存続期間が終了し契約の更新がない場合、転借人は土地
の貸主に対して、建物の買取を請求できるということです。
さらに、第三者が借地上の建物を譲り受けた場合に、借地権の譲渡・転貸を
土地の貸主が承諾しない場合にも、その第三者は貸主に対して時価での買
取を請求できます。(同法第14条)
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・造作買取請求 |
造作というのは、「建物に付加された物で、賃借人の所有に属し、かつ建物
の使用に客観的な利益を与えるもの」をいいます。
例えば、畳・建具・水道設備・電灯の引込み線などです。
建物の賃借人が、賃貸人の同意を得て、自己の費用で設置した造作、ある
いは賃貸人から買い受けた造作については、賃借人の投下資本の回収を図
る必要があります。
賃貸人から見ると、造作の付加によって建物の客観的な価値が増大している
わけですから、この部分の対価を支払わなければ不当利得になります。
借地借家法・第33条第1項は、「建物の賃貸人の同意を得て建物に付加した
畳、建具その他の造作がある場合には、建物の賃借人は、建物の賃貸借が期間
の満了又は解約の申入れによって終了するときに、建物の賃貸人に対し、その造
作を時価で買い取るべきことを請求することができる。建物の賃貸人から買い受け
た造作についても、同様とする」として、賃借人の造作買取請求権を認めてい
ます。
賃貸人の同意を得て付加した造作、あるいは賃貸人から買い受けた造作の
みが対象となります。
同意なく付加した造作は、収去するか所有権を放棄するしかありませんが、
場合によっては民法第608条による費用償還請求権の行使が可能と思われ
ます。ただしその造作の付加に要した費用が「必要費」または「有益費」
に該当することが必要です。最終的には調停や裁判での事実認定に係ること
になるでしょう。
造作買取請求権は、賃貸借契約が期間の満了あるいは解約の申し入れに
よって終了したときに発生します。
契約の継続中や、賃借人の債務不履行に基づく契約解除の場合などには、
この権利は発生しません。
造作買取請求権はいわゆる形成権であって、賃借人からの一方的な行使
によって、造作の売買契約の効力が生じます。
その結果、建物の貸主は、造作の客観的な時価(建物に付加した状態での
価額)の支払義務を負担します。
建物の貸主が造作買取の請求に応じない場合、借主は代金の支払がある
まで造作の引渡しを拒絶できます。(同時履行の抗弁権または留置権)
しかし、建物自体の引渡しを拒絶することはできないとするのが、最高裁の
判例です。
第33条第1項の造作買取請求権は、「建物の賃貸借が期間の満了又は解約
の申入れによって終了する場合における建物の転借人と賃貸人との間について
準用」されます。
なお、借地借家法は第33条を強行法規とする旨の規定を置いていません
から、これに反する特約は原則として有効です。
ただし、旧借家法第5条・第6条は借主の造作買取請求に付いて強行法規
としていました。
借地借家法・附則第13条は、同法施行以前に締結された建物の転貸借へ
の適用を除外していますので、旧法下での転貸借の場合は、転借人の造作
買取請求権を排除する特約は無効ということになりますのでご注意ください。
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・転貸借・譲渡の通知 |
一般に賃貸借契約は、当事者間の信頼関係を基礎とした継続的契約関係
であるため、賃借人が賃借権を第三者に譲渡あるいは転貸することは原則
として許されません。
民法第612条は、第1項「賃借人は、賃貸人の承諾を得なければ、その賃借権
を譲り渡し、又は賃借物を転貸することができない」、第2項「賃借人が前項の規
定に違反して第三者に賃借物の使用又は収益をさせたときは、賃貸人は、契約の
解除をすることができる」としています。
しかし、土地や建物といった不動産の賃貸借においてこの原則を適用すると
賃借人の投下資本回収に不都合を生じます。
借地上に建物を築造した借地人が建物の所有権を第三者に譲渡した場合、
敷地の借地権も一緒に譲渡したことになるというのが裁判所の判例ですが、
賃貸人の承諾が得られなければ、無断譲渡として契約解除の原因となって
しまいます。
この問題について先ず最高裁は、「借地権の無断譲渡・転貸であっても、
賃貸人との信頼関係の破壊がない限り契約の解除はできない」という判例
法理を確立して、賃貸人の解除権を制限しました。
昭和41年に(旧)借地法が改正され、賃貸人が承諾をしない場合でも、
賃借人の申立によって裁判所が承諾に変わる許可をすることができるように
なりました。(旧借地法・第9条の2)
現在の借地借家法・第19条もこれを引き継いでいます。
借家契約については、借家権の譲渡・転貸における賃貸人の承諾に代わる
裁判所の許可の制度はありませんが、信頼関係の破壊にあたらなければ
賃貸人の解除権の行使が制限されるという判例法理は適用されます。
賃貸人の承諾のない譲渡・転貸であっても、解除権の行使が制限される場
合や、裁判所の許可が得られた場合などには、有効な譲渡・転貸とされる
ことになります。
いずれにせよ、借地権者(建物の所有者・建物の譲渡人)が第三者に借地
上の建物を譲り渡す場合には、土地の賃貸人に対して、その旨の通知を発
し、借地権の譲渡あるいは転貸について承諾を求めることが必要です。
これに対して賃貸人が承諾を拒絶すれば、契約の解除や法第19条の許可を
求める裁判、法第14条の建物買取請求権の行使といった手続に発展してい
くことになります。
その意味では重要な通知ですので、借地権者は内容証明書によってこれを
行なうべきですし、賃貸人からの拒絶の通知もまた内容証明書によるべきで
す。
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